遺手紙「貴女はもう忘れたかもしれないが」
タイトル未編集

ナホトカ

○貴女(あなた)はもう忘れたかもしれないが?

真っ青な海と空。横浜港から出発しましたね、ナホトカ号。
食事のときの同じテーブルになりました。はじめまして。
青タオルとマメタンの出会いでした。

あなたのTシャツにはJUSTMARRIEDとかかれていて
よく冷やかされてましたね。覚えてますか?
小説家夫婦とよくドボンをやりました。

津軽海峡では船が揺れてダンスパーティーのとき
あっちへぞろぞろこっちへぞろぞろ。床にヒッピーが
座ってたりして楽しかったですね。


○あなたはもう忘れたかもしれないが?

ナホトカに上陸して足がふわふわしてたりして。
町には何にもなくて灰色で、バスの中でガイドさんが

最近建った集団住宅です、なんて。
皆で顔を見合わせましたよね。
今は相当変わっていることでしょう。


○あなたはもう忘れたかもしれないが?

シベリア鉄道でハバロフスクへ向かいました。
インツーリストのお姉さんに盛んにアタックしましたね。

憶えてますか?荒野に突然停車して、遠くで農夫が
じっと列車を見つめていたのを。

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