遺手紙「貴女はもう忘れたかもしれないが」

乱闘事件

○あなたはもう忘れたかもしれないが

12月にはいるとアルトの近くのホテルに移りました。
のほほんとしたフランスの女の子を憶えてますか?

小石に絵をかいて売ってました。ホテルに来たこともあります。
目が覚めたら彼氏がいなくなっていた話を何度も聞きましたね。

○あなたはもう忘れたかもしれないが

あのクリスマスイブの乱闘事件!新聞にでかでかと出ていましたね。
一生忘れません。置いて逃げてごめん。スプレーをかけられたんだよね。

ほんとにごめん。そのために『デュッセルドルフの針金師たち』を
書きました。これはあなたに捧げる永遠の青春バラードです。

この事件をきっかけに私たちはデュッセルを去ることにしました。
さあ約束どおりヨーロッパからイスタンブールへ旅をしよう!
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