遺手紙「貴女はもう忘れたかもしれないが」

シベリアの空

○あなたはもう忘れたかもしれないが

ハバロフスクの大食堂。私は青いタオルを首に掛けて食事をしました。
ウェイトレスのおばさんが付け髪をしていて、色が違っているのに
おどけたりして。ハラショー、スパシーバ。

何か独特な味のする固いパンでしたね。
必死で噛み砕きました。
透き通るような青い空でしたね。

○あなたはもう忘れたかもしれないが

イリュージンのジェット機はなんと36時間も乗ってました。
「今日誕生日の人いますか?一番長い一日になりますよ」
そのとおり。沈む太陽を追っかけていつまでたっても夕日のままでしたね。

○あなたはもう忘れたかもしれないが

モスクワが近づくと、緑の森が延々と続き、ところどころ
途切れていて、人家もなく、だだっ広いだけ印象のシベリアでしたね。

○あなたはもう忘れたかもしれないが

ウクライナホテルのデスクにでんと座ったおばさんは、
ちょっと怖い感じでしたね。トイレもバスもでっかくて
トイレットペーパーの質が悪くて・・・。
< 2 / 33 >

この作品をシェア

pagetop