遺手紙「貴女はもう忘れたかもしれないが」

ヘルシンキ

○あなたはもう忘れたかもしれないが

私はミュンヘンで半年働いてお金をためてコペンへ戻ってきました。
この時でしたかコペンの中央駅で出会えなかったのは。

今でも不思議で仕様がないのですが申し訳ありませんでした。
一旦お金はお返ししましたが、どういうわけかあなたにはいろいろあったみたいで

小曽根と私の二人に加わって3人で北上することになりましたね。
憶えてますか?オゾネ。カナダの庭師。前歯の抜けるのそっとした男の子。

フェリーでチュルク、ヘルシンキまで行きましたね。憶えてますか
あのフェリー?帰りは雑魚寝でしたね。何年か前に沈没したんですよー!

ヘルシンキ、サウナのプール。佐藤栄作ジャンプ台。マツダの車ばかり。
ディスコで食事中の女の子を誘ってあなたにたしなめられましたね。
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