コーヒーを一杯

Case 1

　　Case　1





「ほらっ。今日子、起きなさいっ。遅刻するわよ」
「うるっさいなー」

布団の中に潜り込んだまま、遅刻しないようにとお起しにきた母親にぞんざいな口をきく娘の今日子は、厳しい受験戦争を潜り抜け四月に私立の中学へと入学していた。

お受験なんて、最初は少しも考えてはいなかったけれど、周りを見渡してみればそれは当たり前のように感じられた。

週に五日の塾通い。
それ以外にもスイミングや英会話。
ピアノだって習わせていた。

周囲を見渡してみれば、小学校の低学年から習い事なんてしているのは当たり前で、それもひとつやふたつなんかじゃない。
小学校へ行っている時間がもったいないとぱかりに、お友達のママさんたちはみんなこぞって子供たちに習い事をさせ塾に通わせていた。