コーヒーを一杯
カフェ
* カフェ *
店内の温かさとは対照的な、外の肌寒さが開け放たれた窓越しから窺えるカフェ。
リネンのカーテンは、相変わらず春のような陽気にふわりふわりと舞っていて、ここだけがいつだって穏やかな空気を纏っている。
「外は、随分と冷え込んできたようだねぇ」
暖かな店内で少しだけ首を伸ばして除いてみれば、葉を纏うことない寒そうな枝が風に吹かれて揺れていた。
そこへ一人の客がやってきた。
おや?
久しぶりのお客じゃないかい。
何十年ぶりかねぇ。
確か彼女は、薄目が好みだったね。
イチゴの蔓のモチーフに、彼女の手が触れる前に、私はカウンターに入ってコーヒーの準備を始めた。