コーヒーを一杯
家に戻れば、当の本人はテレビの前にあるソファーの上で横になり、スナック菓子をつまみに番組を観ながら声を上げて笑っていた。
小学校の時には、言われなくても予習復習をしていたというのに。
今では学校から戻っても、くだらない番組に声を上げて笑っているだけ。
あとは、ひっきりなしに携帯をいじってばかりで、私の顔を見ようともしない。
私がただいまと声をかけても、聞こえているのかいないのか、返事もしなければこちらを振り向きもしない。
その姿に深い溜息が漏れた。
どうしてこうなってしまったんだろう。
小さな頃は、お母さん、お母さんと私にべったりで、いつだって可愛らしい笑顔を向けてくれていたのに。
手作りのお菓子を作れば、美味しいといって沢山食べてくれたし。
時にはキッチンに立ち、料理のお手伝いもしてくれていた。
それが今では、キッチンに近寄りもしないし、作ったご飯には満足せずに残してばかり。
会話なんてほとんど交わすこともなく、テレビと携帯ばかりを観ている。
自分の娘なのに、何を考えているのかさっぱり解らない。
何を訊いてもうんでもすんでもないし、昔はよく友達の話をしてくれていたのに、今じゃ少しもそんな話をしてくれない。