あまのじゃく


「いた。」

「天都、遅いー」


天都と呼ばれた男は少し肩で息をしていて…
彼女の声に顔をあげた。

高すぎず低すぎずの身長にバランスの取れ過ぎてる顔。アルトともテナーとも聞こえる心地よい声。


「寝てた」

「だから、昨日のうちに言ったのに」

「昨日も寝てた」

「寝すぎ!!」

「眠いから」


こんな非生産的な会話を繰り返す。


「まあ、いーや。天都ー口笛吹いて」

「やだ」

「じゃあ録音始めるよー」

「いや、だから、天音」

「さんにーいち」


トンっとスマホをタッチする。


天都は諦めたように綺麗な音色を紡ぎだす。


< 3 / 12 >

この作品をシェア

pagetop