あまのじゃく
「いた。」
「天都、遅いー」
天都と呼ばれた男は少し肩で息をしていて…
彼女の声に顔をあげた。
高すぎず低すぎずの身長にバランスの取れ過ぎてる顔。アルトともテナーとも聞こえる心地よい声。
「寝てた」
「だから、昨日のうちに言ったのに」
「昨日も寝てた」
「寝すぎ!!」
「眠いから」
こんな非生産的な会話を繰り返す。
「まあ、いーや。天都ー口笛吹いて」
「やだ」
「じゃあ録音始めるよー」
「いや、だから、天音」
「さんにーいち」
トンっとスマホをタッチする。
天都は諦めたように綺麗な音色を紡ぎだす。