就活魔女がやってきた
高校を卒業してから二年後、僕が二十歳のとき、両親が離婚した。


母は何も言わないが、原因は間違いなく僕だ。


大学にも行かず、就職もしない僕のことで両親が喧嘩する声が毎晩のように聞こえていた。


離婚して、父は家を出ていった。


広い一軒家に母と僕、二人だけになった。


「離婚した」


と一言だけ言った母の顔は、きっと忘れられない。


疲れ切っていて、まるで一年に十年分の歳をとってしまったようだった。


そのとき僕は、就職を決意した。
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