僕の幸せは、星をめぐるように。
「あ、クニオ! ちょーどえがったぁ。遠野のばーちゃん家から瓜が届いて。よかったらどーぞ」
「お、マジ! あざーす!」
ビニール袋に瓜を入れて、家の外に出ると、ちょうど部活帰りのクニオに出会った。
おばーちゃんの作る瓜は結構甘いので、近所でも割と評判だったりする。
「で、その後どーだぁ? ちゃんと告った?」
自転車に乗ったままのクニオを肘で突っつくと、彼は日焼けしている顔を少し赤くさせた。
そして、
「オラァ、もう駄目だぁ~」
と泣きごとを言って、自転車のカゴに突っ伏してしまった。
聞くと、部活帰りにユカチンを見かけたが、一緒に帰ろうか迷っているうちに、その姿を見失ってしまったそうだ。
「おめぇらしくねーな。サマロクの時頑張って手ぇ繋ごうとしたんだべ? ユカチンもそのこと知ってておめぇと普通に仲良くしてんじゃん」
「んだけどさー」
「ま、わたしはクニオもユカチンも幸せになればそれでいーんだけど」
「あ、それ、阿部ちゃんにも似たようなこと言われた」
あ、そうなんだ。
阿部くんも同じこと思っていたんだ。
ちょっと嬉しいな。
「頑張れよ! うまくいったら満ニラ(ラーメン)おごってやっから!」
そう言って、わたしはカレーの香りが漂う、自分の家に帰った。
それなりにおいしいけど毎日同じメニューを食べているような日々は、
少しずつメニューが変わったり、味が変わったりするようになってきた。