僕の幸せは、星をめぐるように。
「えーと? ……あ、ロックだけど静かな感じの曲って好きかもです」
「んなんだ~? じゃ文化祭のステージ、ラストは静かめの曲にすっぺ~!」
「ちょっ、そんなんで決めて大丈夫なんすか?」
「うんっ! 俺トシミちゃんのために一生懸命歌うから」
そう言って、イケメンさんはキラリと眩しい笑顔をわたしに向けた。
綺麗な二重の目に校則ギリアウトの茶髪、
耳には3つくらいピアスがついている。
この人がボーカルさんなんだ。
ファン多そうだし、ライブ盛り上がりそう。
「えっと、その……!」
その眩しさに再びテンパっていると、後ろからパンク頭くんが、
「先輩ダメっすよ。トシミちゃんは阿部ちゃんのものですから~」
とわざとらしく言った。
ちょ、ちょっと!
わたしが光の速さでパンク頭くんの方を振り返ると、彼はニヤニヤしながら漫画を広げ始めた。
それから、阿部くんをちらっと見ると、真顔のまま目だけを大きく開けていた。
「まぁじ!? 阿部ちゃんとうとう女作る気なったんだぁ!?」
イケメンさんが室内に響き渡るような大声を出す。
他の部員たちも一斉にわたしたちに注目した。
BGMの爽やかな曲だけが室内に鳴り響いている。
あわわわと困っていたら、
「黙秘しまーす」
と阿部くんは言って、わたしを部室の外に連れ出した。