僕の幸せは、星をめぐるように。
わたしなんかと一緒にいて楽しいんだろうか。
早く打ち上げに行きたいのではないだろうか。
不安な気持ちはあぶくのように浮かび上がってくるけど、一つ一つそれは大きくなっては自然と割れていく。
阿部くんのカーディガンの肩とわたしのセーラー服の肩が触れた瞬間、
恥ずかしさよりももっと彼に近づきたい気持ちの方が勝ったのだ。
さっき自転車で抱きついた彼の体温にもう一度触れたかった。
阿部くんは無言で後ろからわたしの頭を撫でて、
そのまま肩まで伸びた髪の毛のラインを手でなぞった後、ぐっとわたしの肩を自分の方へ寄せてくれた。
わたしも、彼の肩に頭を乗せてみた。
「あったかい……」
「うん。おれも」
木々の奥にある駐車場から車が出ていったらしく、
エンジン音とともに葉っぱのすきまからキラキラとした光が移動しながら消えていく。
わたしたちはそのまま無言で時をすごしていた。
すごく幸せだった。
この時間が永遠に続いてもいいと思ったくらいだった。
阿部くんはどう思っているんだろう。
同じ気持ちだったら嬉しいな。
しかし、幸せに浸れていたのも束の間。
次第に、わたしを支える彼の手から、すーっと力が抜けていく。