僕の幸せは、星をめぐるように。
どくん、と大きな鼓動が響くともに、
解析不能なプログラムに頭の中が支配される。
それは、心地よい熱となって、唇から心臓、そして体中へ。
初めて生じた甘い感覚が、わたし自身の中をかけめぐっていく。
これは、夢じゃない。
今、阿部くんとキスしてるんだ。
今は彼女作る気がないって言ったこと。
隠れファンが結構いるらしいこと。
他の女の子たちに囲まれていたこと。
もうそんなことは一切関係がなかった。
阿部くんが好き。大好き。
これはもう揺るぎない、わたし自身だ。
「…………」
ふわっと柔らかな余韻をもって唇が離れる。
目の前でわたしを見つめる、彼の瞳に吸い込まれそうになる。
阿部くんはそのまま背中に腕を回してきて、わたしを抱き寄せてくれた。
――あ、聞こえる。
阿部くんの心臓の音。
わたしと同じくらいのスピードで動いている。
ここに着いたときから更に気温は下がっているようだけど、
わたしの体はどんどん熱くなっていく。
何度も何度も、さっきの唇の感触を思い出しては、阿部くんの鼓動スピードを追い越して、1人せわしなく鳴っている気がした。