僕の幸せは、星をめぐるように。
この幸せな瞬間が、本当に永遠に続いたなら……
良かったのに。
「……ごめんね」
わたしの耳元で囁かれたのは、かすれそうなほどの弱い声。
え……。
何であやまるの?
その声とは裏腹に、わたしを包む腕には力が込められた。
その悲しい声と強められた腕。
わたしの中にさっきとは違う痛みと苦みが広がっていく。
いつの間にか空にはどんどん雲が広がっていき、星たちを灰色の幕で隠していった。
風は止んでいる。
芝生も、木々も、奥で光る人工の光も、ひっそりと気配を消して、ただそこに存在しているだけのものになっていた。
ねえ、そのごめんねは、
わたしに対して?
それとも――。
「……っ」
わたしは言葉を発しようと思ったけど、彼の腕から震えとともに伝わってくる、あの感情によってさえぎられてしまった。
嫌だよ。
わたしはここにいるよ。
阿部くんの心はどこにあるの?
何でそんなに悲しい気持ちでいるの?
広い星空の中。
やっぱりわたしは一人ぼっちだったのだろうか。
不安で、胸がそわそわして、
わたしはぎゅっと彼にしがみつくことしかできなかった。
初めてのキスは、ちょっとしょっぱくて、でもとろけそうなほど甘くて、
そして、喉が詰まるほどに苦かった。