僕の幸せは、星をめぐるように。
11月/November レーゾンデトゥール
「ありをりはべりいまそかり」
教室内にクラスメイトたちの声が響き渡る。
わたしは教室ど真ん中の席にて、窓側、一番前の空席を見つめていた。
悪そうなクラスメイトとかは、時々学校サボったりしているけど、阿部くんはそういうたぐいではないはず。
時々ふらりといなくなるときがある。
具合悪いとか先生に伝えているのだろうか。
解読不能な古文の授業を終えたわたしは、校内を歩きまわっていた。
教室移動中らしい他クラスの生徒たちの間を通り抜け、階段を下る。
遠くで響き渡る生徒たちの声をBGMに、わたしは足を進めた。
――ガチャ。
あれ、開かない。
ミヨ先生はいないらしく、保健室には鍵がかかっていた。
屋上? っても昼休み以外は鍵かかってるし。
わたしは再び2階に行き、空き教室と視聴覚室が並ぶ廊下を歩いた。
あ……あそこかな。
足を進めるごとに廊下は薄暗くなっていき、
その突き当たりにある扉を開けると、つんと紙特有の香ばしいような匂いに包まれた。
――いた。