僕の幸せは、星をめぐるように。
中学に入って、本格的に記録が伸び始めて、みんな褒めてくれたし、喜んでくれた。
しかし――
『あーあ、これじゃあ次の大会は無理でね?』
『まーじ残念ですねー。ト・シ・ミさん』
去年、幅跳び用の砂場で悶え苦しんだわたしは、一気にどん底に落ちた。
足が痛いことや、大会に出れなくなったことは、とても辛かった。
それ以上に、わたしの頑張りがみんなの迷惑になっていたことが悲しかった。
あれから、わたしは自分自身を集団の中から消そうとした。
適当に話を合わせて笑って、嫌われないように目立たないようにした。
でも、次第にわたしは変わった気がする。
体育大会では、中学の頃と同じようなことが起きそうで、とても怖かった。
体育で過呼吸を起こした時も、自分のため、みんなのために飛ぼうとしたけど、上手くいかなかった。
阿部くんはそんなわたしを助けてくれた。
ほっとけないと言ってくれた。
クラスメイトたちも、そんなわたしを受け入れてくれた。
そして、ユカチンやクニオとか、大切な友達、
大好きな阿部くんと一緒にいることで、わたしはわたしでいれるし、わたしでいたいのだ。
って、こんなこと恥ずかしくて言えないけど。
阿部くんは椅子から立ち上がり、言葉を止めたわたしを横目でチラっと見た。
「トシミちゃんにはそのうちちゃんと話すね。おれがこの町来た理由」