僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
イギリス海岸で阿部くんのお話を聞いた後、何と言ったらよいか分からなかったわたしは、
なぜか一言、「阿部くん、デートしよ!」と伝えていた。
ほら、いつぞや雨で行けなかったときあるじゃん、と言うと、
あれは童話村とか賢治詩碑とか、観光地に付き合ってもらおうと思ったから……、と濁されたけど、結局同意してくれた。
駅で待ち合わせした阿部くんは、モッズコートに細身の濃い色のジーンズ、足元はニューバランスの黒スニーカー。
やっぱりシンプルなんだけど、似合っていてお洒落だなぁと思った。
わたしは水玉のナイロンパーカーをダボっと着て、ショーパンと黒タイツを合わせ、足元はいつものワンスター。
頭は肩下まで伸びた髪を無理やりお団子にしてみた。
「トシミちゃんらしい格好だね」
「えーどういうこと?」
「似合ってるってこと。あ、電車そろそろ来ちゃうよ」
そう言われて嬉しかったわたしは、ニヤニヤしながら阿部くんの後ろを着いていった。
わたしたちは普通にカップルに見えるのだろうか。
プラットホームには、同じ高校の運動部らしきジャージ集団がいた。
練習試合か何かかな。土日も大変そうだ。
そう思いながら盛岡行の電車に乗り、今に至る。
「阿部くんってメガネとか似合いそうだよね」
「そう? 伊達メガネなら何本か持ってるけど」
「まじで? え~つけてるとこ見てみたい~!」
メガネ屋さんでキャッキャとはしゃいでいたら、
「トシミちゃん、今日テンション高すぎ」
と言われ、ぺしっと、こめかみのあたりにチョップを食らった。
うう……。