僕の幸せは、星をめぐるように。
駅ビルで服や雑貨を見て回る。
わたしは髪の毛が伸びたのでシュシュを買って、阿部くんは部屋に置くらしい小物入れを買っていた。
――何か、おそろいのものが欲しいな。
木目の棚にアクセサリーや文房具、小さめのインテリアなどが並ぶ雑貨屋さんにて。
わたしは阿部くんが会計に行っている間、革ひもでできたブレスレットを眺めていた。
うーん。
別にカレカノでも何でもないから、一緒のものだと迷惑かな。
店内にはクリスマスソングをジャズ風にアレンジした曲が流れている。
もうすぐクリスマスか。
あ、だったら――!
いいことを思いついたわたしは、
「あ、わたしもちょっと欲しいの見つけたー」
と言って、阿部くんとすれ違いでレジに向かった。
今日は天気は悪くないけど、気温はあまり上がらないらしい。
駅ビルを出ると、澄んだ冷たい空気に包まれる。
「阿部くんお腹空かない? ご飯食べよーよ」
「うん。何か食べたいのある?」
「あっちに美味しいハンバーグ屋さんあるんだけど。そこ行こ!」
そう言って、わたしは阿部くんの手を引っ張った。
商店街に続く橋を渡る。
駅に向かう人と、街に向かう人がすれ違う。
橋の下には、わたしたちの町を通り、この県を越えて宮城の海まで続いている北上川が、穏やかに流れている。
川からは風が吹いていて、阿部くんの手は冷たかった。
わたしは、自分のポケットで保温していた熱を伝えるように指を絡めた。
わたしから繋いできたことに驚いたのか、阿部くんは横目でわたしを見た。
しかも恋人つなぎ。
「ハンバーグかぁ。いいね」
と言って、阿部くんはそのまま歩き続けた。
良かった……。
繋いだままでいいんだ。
わたしはニコニコと阿部くんに話しかけていたけど、心の中は不安と緊張でいっぱいだった。
今渡っているこの川にダイブしてもいいくらいに。
いや、この寒さの中、飛び込んじゃったら人生終わるか……。