僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
国道とは違い、信号が青になっても2、3台ほどしか車は通らない。
道路を挟んだ奥には、ブラックライトにより、赤や青など幻想的な光を浮かび上がらせられている、銀河鉄道の巨大壁画。
ちょうどこの先の道で、わたしと阿部くんはお別れになる。
自転車を停めて、後ろのフェンスに寄りかかりながら、2人で宇宙空間を走る銀河鉄道を眺めていた。
「あ、そういえば……」
とつぶやきながら、阿部くんは手にした紙袋から一つ、小さな包みを取り出した。
「はい。早いけどクリスマスプレゼント」
「本当!? ありがとう。開けていい?」
うわー! 嬉しい!
寒さで再び冷たくなった手。
上手く指を動かすことができず、ガサガサと音を鳴らしながら、その見覚えのある包みを開けた。
中のものを見た瞬間、わたしの思考はぴたりと止まってしまった。
「……え。うそ。なんで?」
「これだと学校でも私服でもどっちにもつけれそうだし。カジュアルな感じで似合うかなと思って」
驚きのあまり、上手く声を出せないわたしに対して、
阿部くんはやわらかく目を細めながらそう言った。
無言でわたしはナイロンパーカーの腕をまくり、それを右の手首につけた。
目の前の道路にワゴン車が1台通り、あらわになった腕に風が吹き付けたけど、寒さは感じなかった。