僕の幸せは、星をめぐるように。


☆ ★ ☆


「んで、告ったの? 告られたの?」


「いんや、それはまだ……」


「あっそっすか」


どんどん小声になるわたしに対し、ユカチンは半目でわたしを見ながら、ずるるるっと太麺をすすった。

今日のユカチンのお昼はカップうどん。あったかそう。


ちなみにわたしのお弁当は、

上段はパンチェッタの炒め物、ブロッコリーのクリームソースがけとイタリアン風だったが、

下段はご飯に梅干といかの切り込みが乗せられていた。

相変わらず母はブレない。


「突然だけど、ユカチンってさ、片付けとか料理とか家事全般苦手?」


ユカチンの家は共働きで、朝はお母さんの方が早く家を出るらしい。

よっていつもお昼はコンビニ飯だ。


「はぁ? やればできるって。文化祭の時からあげ作ってたべ?」


「あ、んだったね」


わたしがそう言うと、ユカチンは少し伸びたボブの髪の毛をぺっと払い、

「なに? 急に」と不思議そうに呟いた。


「ほら、クニオが部屋入れてくれないって嘆いてたべ? それで」


「確かに片づけは苦手かも。ま、あたしがクニオの家に時々遊びに行ってるしいいんでね?」


「でも、クニオの家だとおかーさんいっつもいるし、あんまり、その、ほら、その、カップルっぽいことできねーんじゃね? 的な~?」


「何? 一応チューはしたよ?」


「う、じゃなくて、その…………えっちなこととか」


わたしたち以外まだここには誰も来ていないのに、なぜかひそひそ声になる。


「あー無理だね! あたし結構声でちゃうし」


「え、や、あはは……って、ちょっとぉー!」


自分から話を振っておきながら、ユカチンの突然のアダルト発言に、頭がフリーズしてしまうわたし。

危なくクリームソースと梅干を一緒に口の中に入れるところだった。


「トシミ……何真っ赤になってんの。って、あたしまで何か恥ずかしくなってきた!」


わたしにつられたのか、珍しくユカチンの顔が赤くなっていた。


いつもとは逆で、サイドの髪を頬に向かってとかし、顔を隠そうとしている。

その様子はとても可愛かった。
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