僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
この高校は部活動が盛んで、遠方から入学してくる生徒もいる。
地元の人にとっては、このエリアにある数少ない私立ということで、公立志望者の滑り止めとして人気なんだけど。
もちろんわたしは帰宅部。
入学時は陸上部から執拗にお誘いがあったけど、
いろいろ理由をつけて断っておいた。
ユカチンは合唱部。クニオは軟式テニス部。
阿部くんは……何かやってるのかな。
そう思いながら、教室を出ると、ちょうど阿部くんがすっとわたしの前を横切っていった。
あっ、と思っているうちにその後ろ姿は遠ざかってしまう。
今は1人っぽいし、チャンスだ!
「阿部くん!」
部活に向かう人たちでがやがやしている廊下。
わたしの声は彼に届いたのだろうか。
「……ん?」
阿部くんは振り返り、首をかしげながら、わたしを見た。
学ランにグレゴリーの紫色のリュック。
完全にお家に帰る格好だ。
わたしと同じ、かな。