僕の幸せは、星をめぐるように。
――ざくっ。
一歩だけ、右足が前に出る。
『あーあ、これじゃあ次の大会は無理でね?』
『まーじ残念ですねー。ト・シ・ミさん』
『おめぇまだ陸上やってんの』
一瞬だけ、嫌なことを思い出して、それ以上前には進むことができなかった。
でも――。
「トシミ!」
彼がわたしの名前を呼んだ瞬間、わたしの中で光のようなものが明滅した。
見えたのは、さっきとは違う映像。
――初めて市の大会で入賞した時のこと。
『トシミちゃん、まじかっけー! 何でそったに飛べるの?』
『いやいや~、わたしこれくらいしか取り柄ないしー』
部員たちは喜んでくれた。
たぶんこの時の言葉に嘘はなかったと思う。
――毎日真っ黒に日焼けしながら、懸命に練習していた時のこと。
『おめーめちゃくちゃ頑張ってるし、オレも頑張らなきゃって思う』
『うちもトシミちゃんみたいにもっと勝ち進みたい~!』
『本当? そう言われると嬉しすぎるんですけどー!』
クニオはじめ、他の部の友達も笑顔でそう言ってくれた。
わたしはその場で2、3回ジャンプし、足元の雪を靴底で固めた。
――行くぞ!