僕の幸せは、星をめぐるように。
「わっ!」
ズボッ!
と一歩目から雪に足を取られた。
1、2、3、4……!
昔と同じように安定したピッチで雪の中を駆け抜けようと思ったけど、
右足を滑らせては、左足が雪に埋もれた。
でもそんなのは関係なかった。
すぐ先には、大好きな、阿部くんがいる。
彼もまた、悲しい思いをしたことがあって、
それでもわたしと一緒にいてくれる。
たぶんわたしたちの心は同じような欠け方をしていたんだろう。
お互いのそこに手を伸ばして埋めあって、
やっと完全に自分を取り戻すことができる気がした。
彼の心を過去から取り戻すことができるのは、きっと、わたしだけ。
ざっく、ぼふっ、ざくっ。
彼が先につけてくれた足跡をたよりに、
今、何歩目か忘れてしまうほど、崩れた雪を足で掻き分け、
不恰好な音を鳴らしながら、わたしはスピードを上げた。
バランスを崩しながら走っているため、上下左右に視界が揺れる。
でも、阿部くんはわたしをしっかり見据えながら、待ってくれている。
あと少し。
怖さはもう、全く感じなかった。
さあ、飛ぶぞ――。
1、2、3、4、GO!
最後の一歩、右足で雪の地面を思いっきり踏み込む。
飛び立とうと思った瞬間、片方のブーツが雪に引っかかってしまい、ズボッと脱げた。
でも、この雪くらいは超えてみせる。