僕の幸せは、星をめぐるように。
わたしの頭も雪まみれになっているようで、彼も下から手を伸ばし、
マフラーに埋もれた髪の毛を優しく引っ張りながら、前髪からサイドの髪へと指を滑らせた。
すると、わたしの髪の束が雪とともに彼の顔に落ちる。
阿部くんは、その髪の毛をわたしの耳にかけた。
手袋も取ったし、雪にも触れて、氷のように冷えた指。
耳に当たった瞬間、その冷たさに体がぴくりと反応したけど、不思議と嫌ではなかった。
そのまま阿部くんは後頭部に手を回し、わたしの頭を引き寄せる。
「ん……」
気温は昼よりも下がり、お互い雪まみれ。
彼の唇の表面の冷さに一瞬声が出てしまったけど、重なるとすぐに熱を帯びた。
ゆっくりと目を開けると、白い光の中、愛おしい彼の真剣な顔が見えた。
激しくなる心臓音が漏れてしまいそうで、目を伏せようとしても、
その奥二重のまぶたの奥、彼の少し茶色がかった瞳は、わたしの心を捕らえて離さない。
「トシミちゃん、大好きだよ」
目の前の唇が少しだけ開けられ、発されたのは心地のよい彼の声。
その瞬間、わたしはもう胸がえぐられるほどにたまらない気持ちになり、
そうささやいた唇を自分の唇で塞いでいた。