僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
「あー朝からまぁじ疲れたー。あちーあちー」
「でも先輩のあの一発芸、超ウケたね!」
雪の白をまとった朝日が廊下に差し込む。
制服に着替え直してから、ナナミちゃんと一緒に1年2組の教室へ向かった。
1月半ば。
日が照り始めたけど、まだ外の気温はマイナスだろう。
再び大雪が降ったため、今日の朝練は校舎まわりの雪かき。
しばれる~、鼻水が凍る~、
などと騒ぎながら雪かきスコップやママさんダンプを動かし、
生徒たちが登校する頃までに、校門から玄関にかけて白くて太い道を作ることができた。
ちなみに先輩が先導で細い雪の道を作り、その先で「モーゼの十戒!」と叫んでいた。
(確かに雪が割れて道が現れたように見えた……。)
ナナミちゃんはトイレさ行ってくる~、と言ったため、1人でわたしは教室に入った。
教室ど真ん中の自分の席につくと、ひそひそと、クラスのイケてる男女が噂話をしているのに気がついた。
「やっぱあれ……マジなんだべか」
「でも聞けねぇよな……本当か知らねぇけど」
わたしは時々聞こえる断片を右から左へ受け流しながら、まだやっていない宿題のプリントをリュックから取り出した。
しかし――。
「トシミちゃんには言ったほうがいいんでね? ほら阿部ちゃんと付き合ってるって噂だし」
「んだどもトシミちゃんには酷い事実だべ? まさか阿部ちゃんが学校の先生とやった――
「ねえ、それどっから聞いた!?」
思った以上に、わたしの声は室内に響き渡ってしまった。
教室にいる生徒はまだ3分の2くらい。
阿部くんもユカチンもクニオも来ていないようだ。