僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
大宮で電車に乗り換え、
ようやく阿部くんの地元にたどり着いた。
「んん? 何か盛岡のほうが都会じゃない?」
駅を出ると、バスを待っている人の列や、駅ビルや飲食店の並びが見える。
でも、空は開けているし、自分のスペースも人3人分くらい確保できる。
「みんなおれのこと都会の人だと思ってるけど、まあ、関東は広いからねー」
中学の時の修学旅行で行った東京の大都会よりは、
全然暮らしやすそうではある。
手をつないで歩き出すと、
「うおおお阿部ちゃん! 久しぶりー!」
と叫びながら、こっちに向かってくる男の子の姿が見えた。
危険を感じたわたしは、すっと一歩横にずれる。
もしかして、この人が――。
気がついた時にはもう、
その男の子は阿部くんのことをきつーく抱きしめていた。
「ク、クサマくん。苦しいよ」
「だって久々じゃんよー。しかも彼女できたって。良かったなお前~」
確かに、ちょっとノリはクニオに似ているかもしれない。
それにしてもこの熱すぎる抱擁、ボーイズラブ好きのイトコが見たら喜びそうだ。
今日のお土産にこっそり写メ撮って見せてあげようかな。