僕の幸せは、星をめぐるように。
「はぁっ、はぁっ」
わたしは息切れをしながら、扉のガラス越しに彼を見つめた。
新幹線は彼を乗せて、関東方面へゆっくりと動き出す。
阿部くんの姿がわたしから遠ざかる。
その時、彼の薄めの唇が開かれた。
「…………」
もちろん何を言っているかは聞こえない。
でも、わたしには分かった。
スピードを上げながら車両は次々と流れていく。
風とともに視界が開けると、足の力が抜け、わたしはその場に屈みこんだ。
「トシミのバカ、意味分かんないっ!」
ユカチンが泣きながら、倒れそうになるわたしを支えてくれた。
「…………」
クニオは無言でその場に立ち尽くしていた。
静まり返ったホームに、ユカチンの嗚咽の音だけが響いている。
わたしは考えていた。
彼が最後に発した言葉のことを。
『ごめんね』って――。
これはどっちの意味なんだろう。