僕の幸せは、星をめぐるように。
わたしのこと
☆ ★ ☆
「お先、失礼しまーす」
「…………」
ここ数日間、労働時間が長くなりすぎたため、今日はイレギュラーの6時間勤務。
挨拶をしても店長は不機嫌なのか、ちらっとわたしを見た後、すぐ売り上げ日報に目を戻した。
そろそろ社員にしてくれてもいいのにな。
この店長が本部にかけあってくれればすぐなんだと思うけど。
ため息をつきながら、駅に向かい、東北本線の電車に乗る。
木々や田んぼの間を電車で通り抜け、
だいたい10分くらい揺られると、わたしの地元に到着する。
ホームでは、わたしの母校のジャージを着た高校生たちが、キャピキャピと大声で騒いでいた。
駅から自転車で坂道を下り、銀河鉄道の壁画前を通り抜ける。
まだ、日は落ちておらず、ブラックライトが点いていないため、
灰色の壁に白色で描かれた宇宙空間と汽車が薄く見えるだけだった。
途中、母から頼まれた生活雑貨品とお酒を購入するためにヨーカドーへ。
店内を歩きながら、茶色のガラス越しにミスドの店舗内を見る。
客層は、学校帰りの中高生や、子連れの若いママ、おばさん軍団がほとんどだった。
自転車のカゴに洗剤やビールの缶を突っ込むと、すでにあたりは暗くなっていた。
ライトの音をジージーと鳴らしながら、再び自転車を走らす。
通りの奥。ちょうど青信号の光が見えた。
そのままスピードに乗って、日々行き交う車のタイヤに削られた国道4号線のアスファルトを横切る。
ボコッ、ボコッ、と自転車は縦に揺れ、カゴの中の物たちがポップコーンのように弾けて飛んでいきそうになった。
ここ数日間、雨降ってないよな~、と思いながら、イギリス海岸近くの通りを進むと、ちょうど夜7時。
市内中を包む『星めぐりの歌』のメロディーに合わせて、わたしも口笛を吹きながら家に帰った。
この町には、彼との思い出が多すぎる。