僕の幸せは、星をめぐるように。


お刺身やお新香をつまみに、3人でお酒をどんどん進める。


そして、結婚式に誰を呼ぶかの話になると、

やはりあの名前が出る。


「やっぱり、まんずおめぇと阿部ちゃんだべな~」


顔を赤くしたクニオが、頬杖をついてそうつぶやいた。


「こら、あんたまた飲みすぎでね?」


ユカチンが突っ込みを入れた後、チラッとわたしを見る。


別に気を遣わなくてもいいのに……。


わたしはビールを飲み干してから、

「もちろん阿部くんも招待すんだべ?」

と2人に聞いた。


「ん、まあ。んだな」

クニオが歯切れ悪く、そう答えた。


「へー阿部くんかぁ。懐かしいな~」


半個室の席が並ぶ店内はほぼ満席になり、楽しそうな声が天井に響いていた。

バイトの中に高校時代の同級生がいたり、他の席には中学の頃の先輩がいたりするなど、地元ならではの空気が漂っている。


阿部くんが地元に帰った後も、クニオは彼と連絡を取り合っていたらしい。


お盆や正月に阿部くん一家がこの町に帰省した時には、一緒にご飯を食べに行ったこともあるとのこと。


でも、クニオとユカチンとは高校2年生以降クラスが離れたため、1年生の時のように毎日一緒にいるわけではなくなったし、

2人も気を遣って、わたしにその話を振ってくることはなかった。


よって、彼の近況はよく分からない。


知っているのは、東京で大学生をやっていることだけ。



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