僕の幸せは、星をめぐるように。
1人になってからも、高校生活は充実していた。
大好きな走り幅跳びで結果を残せるよう頑張ろう、と必死になって思い込んだのもあるけど。
でも、あれから、わたしは恋することが良く分からなくなってしまい、彼氏はできては別れ、できては浮気され、というスパイラルに陥っていた。
卒業後は仕事も上手くいかず、彼との思い出も消えないこの町で、
1人立ち止まっている、毎日。
わたしは、彼を幸せにできたのだろうか。
「ねね、結婚すること伝えた時、阿部くんどんな反応してたぁ?」
「うん、すげー喜んでた」
クニオはワサビをはしでつまみ、刺身の上に乗せながらそう答えた。
「そっか。阿部くん今、どうしてんだべな~」
とつぶやき、視線を右斜め上に移すと、
「気になるなら連絡取ればいーべや。変わらない感じだっけよ」
と、ユカチンが口を尖らせた。
「え? ま、まぁ」
そっか、もちろん結婚式には阿部くんを招待するらしいし、今も2人は連絡取っているんだ。
「結婚式で使いたい写真、あんたと阿部くんいっぱい写ってるんだけど」
ユカチンが飲み物のメニューを見ながらそう言った。
「あ~。もちろん使っていいし」
とわたしが軽く返すと、
「いっこだけわがまま言っていい? 阿部くんと式で再会することになるけど、本当に大丈夫? 2人に気まずい思いさせるの、あたし嫌なんだぁ……」
と言って、ユカチンが真面目な顔になった。
「2人の問題なのは分かってっけど。俺ら、おめぇと阿部ちゃんのおかげでここまで来たようなもんだべ? 何かずっともやもやしてんだよなぁ……」
クニオも落ち着いた口調で、そうつぶやいた。
わたしと阿部くんは、ケンカ別れって訳じゃないけど、あれ以来一切連絡を取っていない。
お互いもう大人だし、再会して気まずい雰囲気にはならないと思うけど。
でもこの2人に、変に気を遣わせるのも悪いよな。
そして、わたしたちのこと、ずっと気にかけてくれてたんだ……。