僕の幸せは、星をめぐるように。


★ ☆ ★


高2の春、あの町を離れた後は、

新しい場所で友達やバンド仲間を作りながら、高校生活を再スタートさせた。


トシミちゃんとは、遠距離になってからほどなく別れた。


彼女は部活が忙しくなり、僕も新しい生活に慣れるのに手一杯で、

中々連絡を取らなくなってしまった。


そもそも、彼女は中々電話に出てくれないし、ラインの返信もまちまちになっていた。

部活に打ち込み始めた彼女にとって、僕は邪魔な存在だったのかもしれない。


僕と続ける気はあるのかと聞くと、

彼女は、このまま続けても僕のためにならない、と言った。


頭の中をごちゃごちゃにしたまま、僕は何かをつぶやいていた。


気がつくと、先生と幸せになって、と言われていた。



そうだ。

僕は何も選べなかったのだ。

先生とトシミちゃんが溺れていたら、どっちを助けるのか、という問いに。



もちろんその後、

何でトシミちゃんと別れたのか、ねーちゃんに問い詰められた。

遠距離ですれ違って……、彼女も陸上が忙しくなって……、などと言っても信じてくれなかった。

仕方なかったので僕がその理由を述べると、

『そういう時は嘘でもトシミちゃんって答えるべきじゃん。ばかじゃねーの!』

と怒られたが、


トシミちゃんだからこそ、そうすることができなかったのだ。



< 287 / 317 >

この作品をシェア

pagetop