僕の幸せは、星をめぐるように。
★ ☆ ★
高2の春、あの町を離れた後は、
新しい場所で友達やバンド仲間を作りながら、高校生活を再スタートさせた。
トシミちゃんとは、遠距離になってからほどなく別れた。
彼女は部活が忙しくなり、僕も新しい生活に慣れるのに手一杯で、
中々連絡を取らなくなってしまった。
そもそも、彼女は中々電話に出てくれないし、ラインの返信もまちまちになっていた。
部活に打ち込み始めた彼女にとって、僕は邪魔な存在だったのかもしれない。
僕と続ける気はあるのかと聞くと、
彼女は、このまま続けても僕のためにならない、と言った。
頭の中をごちゃごちゃにしたまま、僕は何かをつぶやいていた。
気がつくと、先生と幸せになって、と言われていた。
そうだ。
僕は何も選べなかったのだ。
先生とトシミちゃんが溺れていたら、どっちを助けるのか、という問いに。
もちろんその後、
何でトシミちゃんと別れたのか、ねーちゃんに問い詰められた。
遠距離ですれ違って……、彼女も陸上が忙しくなって……、などと言っても信じてくれなかった。
仕方なかったので僕がその理由を述べると、
『そういう時は嘘でもトシミちゃんって答えるべきじゃん。ばかじゃねーの!』
と怒られたが、
トシミちゃんだからこそ、そうすることができなかったのだ。