僕の幸せは、星をめぐるように。
部屋に帰ってから、彼女をベッドに寝かせ、僕はソファーで眠った。
「ごめんね……」
真っ暗な中、うとうとしていると、かすれた彼女の声が聞こえてきた。
一気に切なさが喉元まで押し寄せてくる。
「……ん?」
僕に話しかけてきたのかと思い、軽く声を出してみたけど、
すー、すー、とあの頃と変わらない、彼女の静かな寝息が耳に入った。
――寝言か。やめてよ。
次の日の朝、僕より先に彼女は起きていた。
コンビニで朝ごはんを買ってきてくれたらしい。
2人でパンをつまみながら、
「今日どうするの?」
と僕は迷子に話しかけるような柔らかなトーンで言い、彼女の目をじっと見た。
「…………」
「おれ大学終わったら、夜までバイトだけど」
「…………」
「トシミちゃん?」
ソファーに軽く腰をかける彼女は、表情の無い顔を静かに伏せた。
「ごめん。ここにいていいかな……?」
「え? 仕事は大丈夫?」
「サボる。ほら、わたし別に社員とかじゃないし」
「ちゃんと休むって連絡しなよ」
「だって……」
「だめ! そうしなきゃ強制送還するよ」
「……わかった」
トシミちゃんがここに居続けることに対し複雑な気持ちになったが、
その暗い表情を見ると合意せざるを得なかった。
もしかして、彼女もいろいろ上手くいっていないのかもしれない。
まあ、別に今、付き合っている人がいるわけでもないし、
トシミちゃんがここにいても特に問題はないんだけど。
『せーちゃんと一緒に暮らしたい』
『うん、高校卒業したらそうしようね』
まさかこんな形でこの約束を守ることになるとは。