僕の幸せは、星をめぐるように。

電話を終えると、クニオからの着信知らせが入っていた。

コンビニで温かいコーヒーを買ってから折り返した。


『阿部ちゃん阿部ちゃん! あんさ、トシミが行方不明なんだぁ。そんで心当たりあるとこ連絡してだけど分かんねくて~』


「うちにいるよ」


『いんやいんや! まさか阿部ちゃんのとこさ来てるって、んなわけねーべ? 変な連絡してごめん~!

……って、ええええええ!?』


音割れがするくらいの大声にコーヒーを吹きそうになった。

クサマくんもクニオもやっぱり面白い。


スマホ越しに『阿部ちゃんのとこさいるってよ』『マジで!?』とクニオとユカチンの会話が聞こえてきた。


すると、突然、ボフッと鈍い音がした。

どうやらスマホを奪われたらしい。


『トシミがそっちさ行ったってことは、阿部くんに話があるからだべ? 今度こそはちゃんと納得いくまで話し合いなさい! んじゃ!』


ツー、ツー、ツー。


ユカチンに説教されたかと思いきや、そのまま電話を切られた。


「…………」


トシミちゃんががこっちに来た理由――


クサマくんの早とちり情報、

そして、

僕が無くしてしまったと思っていた、あの手紙。


昨日トシミちゃんが眠った後、久しぶりにそれを見返した。


強そうに見せかけて、本当は弱い、

先生らしいと言えば、先生らしいことしてる内容だな、と思った。


だから一度逃げたはずなのに、未だに会ってしまっているのだ。

そんなことしてはいけないの、分かってるのに。



でも、なぜトシミちゃんは、これを持っていたんだ?


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