僕の幸せは、星をめぐるように。
「クサマくんから聞いたんでしょ」
「うん」
「だから大丈夫。ちゃんとトシミちゃんは普段どおりの生活に戻んなきゃ。
みんな心配してたし、仕事もそんなに休んだらやばいでしょ?」
「あ……うん」
トシミちゃんは2杯目のグラスを飲み干した後、
「そっか、なら良かった……。ごめんね。突然押しかけちゃって」
と弱々しく言って、顔を伏せた。
「ううん。心配してわざわざ来てくれたんだよね。ごめんね。もう一本だけ飲もっか」
僕は無言になってしまった彼女の肩をぽんと叩き、
もう一本ビールを持って来ようと台所へ向かおうとした、その時。
「あ、いいよー。わたしが持ってくるし」
と言って、トシミちゃんが僕の腕を引っ張った。
――わっ。
立とうとしたところを急にソファーに引き戻され、
その勢いで僕はトシミちゃんに密着する位置にきてしまう。
「ごめ……」
急に距離を詰めてしまったことに謝ろうとしたけど、
上手く、声が出せなかった。
間近で目が合った僕たち。
その距離はおよそ十センチしかなかった。
「…………」
目の前で瞳を潤ませている彼女を見つめると、
頭の中がごちゃごちゃになってくる。
ごくり、と喉が鳴る。
いつの間にか鼓動が速くなっていたことに気がついた。