僕の幸せは、星をめぐるように。


★ ☆ ★



窓の外には、どんよりした曇り空と、東京まで続いているという国道4号線のアスファルト。

目の前を大型トラックが走り抜けるたびに、このファミレスの床もがたんと揺れる気がした。


「はぁーあ、体育大会どーすっぺ?」


そんな中、隣に座っているユカチンが、

内巻きになったボブの髪をはねのけながら、そうつぶやいた。


テーブルの上には、4人分のドリンクバー用のグラスと、ノート、プリントが散乱していた。


「どーすっぺね~。おらぁ何でもいーけど」

と、クニオがシャーペンの芯を先端から入れながら言う。


体育大会が3週間後に迫っている。

なぜかクラスのイマドキ系男女がとても張り切っているので、わたしたちは微妙に興ざめしていた。


「おれ、運動苦手なんだよねー」


阿部くんが、数Aの問題集を広げながら、ボソッと言った。


「でも3日間、授業がないのはいいじゃん。ま、めんどいけど」


そう言って、わたしも数学の宿題に取りかかった。

出されていたのは『集合と論理』の分野だった。


今、この4人の集合体が、わたしは好きになっていた。

気兼ねなくわたしが個でいれる空間。

きっと、みんなもそうだろう。


だから、居心地が良いし、楽しい。

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