僕の幸せは、星をめぐるように。
ちょうど教室のど真ん中の席に座っているわたし。
突然、たくさんの目が一斉にわたしの方を向いた。
体中にたくさんの矢が刺さったような感覚。
それはわたしの心の中をちくちくと攻めるため、鼓動が嫌なリズムを刻んでいった。
「あいつ陸上で東北大会出たことあんだべ?」
「すげーマジ?」
「うん、確かにいい脚してっぺや。うほっ!」
「あはは、それまじキンモー!」
「へぇ~トシミちゃんってすごい人だったんだね」
え、ちょっと……!
驚きで口から何も発することができないでいると、いつの間にかクラスメイトたちからのいろんな雑音に包まれていた。
ト・シ・ミ! ト・シ・ミ!
次第に、わたしのコールがじわじわと広がっていく。
みんなに悪気が無いのは分かっている。
ただ体育大会で良い成績をおさめて、クラスで盛り上がりたいだけ。
「ちょっと、おめーら悪ノリすんでねーよ!」
と後ろの方から、クニオの珍しく真剣な声が聞こえたけど、
「折角クラスにアスリートがいるんだったら出なきゃもったいねーべや!」
「んだんだ!」
というノリノリの男子の声に阻まれていた。