僕の幸せは、星をめぐるように。


わたしと阿部くんペアは1試合目にダブルス出場したところ、

経験者らしき3年生ペアにスーパーフルボッコにされてしまった。


「ごめんね。おれ、ちょっとはいけると思ったんだけど」

「いや、あれは無理だぁ~。サーブとか妙な回転かかってたし」


「いや、なんていうか。ちょっとはいいとこ見せたいじゃん。全然ダメだった~」


試合後、少しヘコんでいる阿部くんが可愛かった。


その後は控えに回り、

目の前で繰り広げられるピンポンを阿部くんのとなりで眺めていた。


「阿部くんは中学のとき何部だったの?」


「うーん。帰宅部? 一応何かには所属してたけど幽霊部員だったし」


ピンポン球の行方を追ったまま、阿部くんはそう答えた。


ちょうどクニオがスマッシュを決めたようで、

応援にきていた同じクラスの男女がナイスー! と言っていた。


それにつられて拍手をしながら


「へ~。そしたら普段は何してたの?」

とわたしが聞くと、


「ツレと遊んだり、ゲームしたり、ライブ見にいったり普通だよ。あ、図書室で本読んだりもしてたかな」

と阿部くんは左上に視線を動かし、うーんと唸りながら答えた。


まじめなんだかふまじめなんだかよく分からないなぁ。
< 38 / 317 >

この作品をシェア

pagetop