僕の幸せは、星をめぐるように。
いつの間にか競技は始まっていたようで、
遠くの方では第一走者の女子から第二走者の男子へ次々とバトンが渡っていた。
『壱年弐組参上』Tシャツの走者は現在2番手につけている。
「いけー!」
「ナナミー! 負けるなー!」
第三走者――女子アンカーはナナミちゃんというクラスメイト。
筋肉質の脚を、必死に回転させてはいるけど、
他のクラスはおそらくクラス一足が速い女子を選抜しているためか、
3位以降の走者に差をつめられている。
一歩、一歩、グラウンドの土が蹴られるたびに、その距離は縮んでいく。
そして、ああ……、という落胆のため息がクラスメイトたちから発されるとともに、
最終ランナーにバトンが渡ったときには、6クラス中4位に下がってしまった。
順位を上げたらしい1年3組の陣地から、キャーキャーと喜びの声が上がる。
わたしは、ふと小さい頃、おじいちゃんに連れて行ってもらった、
競馬場での風景を思い出していた。
レースが終わり、順位が決まると、万歳をしながら喜ぶ人たちと、
馬券をびりびりに破きながら怒る人たちの2つに分かれる、
そんな風景。
それまで懸命に応援していた人が、負けた途端、急に笑顔が消える様子に怖さを感じた。
胸がずんずんと鈍く痛む。