僕の幸せは、星をめぐるように。
ゆっくりと助走コースを後ろに下がると、「おお~」とギャラリーから感嘆の声があがった。
うん、これはただの遊びだ。
何の制約もないし、失敗しても失うものはないはず。
そう心に言い聞かせ、
大きく深呼吸をして、その場で2、3回軽くジャンプした。
もしかしたら、わたしはまた飛べるのかもしれない。
――行くぞ!
少しだけ、風とのタイミングを計ってから、わたしはスタートを切った。
スピードを上げ、右足と左足で順番に地を蹴る。
スポーツテストの50m走の時にも思ったけど、意外と走るスピードは落ちていない。
正確なピッチを刻み、1、2、3、4と足裏で地面に数字を置いていく。
踏切り板と着地用の砂場が、視界の中で上下に揺れながら近づいてくる。
あ、わたし、また飛べるのかなあ。
しかし――
「うっ」
走りながら、胸がずきりと痛んだ。
再び、ばちりと光のようなものが明滅し、それはせわしくせわしくわたしの鼓動スピードを上げていった。