僕の幸せは、星をめぐるように。

ゆっくりと助走コースを後ろに下がると、「おお~」とギャラリーから感嘆の声があがった。


うん、これはただの遊びだ。

何の制約もないし、失敗しても失うものはないはず。


そう心に言い聞かせ、

大きく深呼吸をして、その場で2、3回軽くジャンプした。


もしかしたら、わたしはまた飛べるのかもしれない。


――行くぞ!


少しだけ、風とのタイミングを計ってから、わたしはスタートを切った。


スピードを上げ、右足と左足で順番に地を蹴る。


スポーツテストの50m走の時にも思ったけど、意外と走るスピードは落ちていない。


正確なピッチを刻み、1、2、3、4と足裏で地面に数字を置いていく。


踏切り板と着地用の砂場が、視界の中で上下に揺れながら近づいてくる。


あ、わたし、また飛べるのかなあ。



しかし――


「うっ」


走りながら、胸がずきりと痛んだ。


再び、ばちりと光のようなものが明滅し、それはせわしくせわしくわたしの鼓動スピードを上げていった。
< 57 / 317 >

この作品をシェア

pagetop