僕の幸せは、星をめぐるように。

あ……だめだ。


息切れが激しくなり、意識が遠のいていく。

同時に鮮明に思い出す――


柔らかいはずの砂の下に隠された、複数の大きな石たち。


着地した途端、おかしな方向に足がひねられ、同時に襲われた叫ぶことができないほどの痛み。


何が起きたんだろうとパニックになりながら見たものは、


『あーあ、これじゃあ次の大会は無理でね?』

『まーじ残念ですねー。ト・シ・ミさん』


と、光が灯っていない目で嘲笑う、仲間、だと思っていた人たちの姿――。



その場面がゆっくりと波を打つように歪んでいき、

急に視界が『今』に戻る。



しかし、わたしを囲む景色――たくさんの目と奥の砂場、落ちてきそうな重い色の空、全てに細かいモザイクがかかっていく。


あれ、何かが変だ……。


おかしい。

そんなに疲れていないはずなのに、わたしの息切れは止まらない。


突然、踏切り板を手前にして、走るスピードを緩めたわたしに対し、ざわついた声が聞こえてくる。


――いや、止まりかけた足と反比例。

呼吸は勝手に速度を上げていく。

< 58 / 317 >

この作品をシェア

pagetop