僕の幸せは、星をめぐるように。


え? 何、これ!?


「……っ! はっ、はぁ!」


その場に立ち止まり、急いで胸に手を当てる。


息が……息が……!


その場にかがみこみ、呼吸を整えようとしても、勝手に肺がスピードを上げるため、小刻みに空気は吸い込まれては吐き出されていく。


苦しい! 何で? 止まらない!


ねじを限界まで巻ききったおもちゃのよう。

鼓動も早くなり、手足が上手く動かせず、わたしはその場に屈みこんだ。


「トシミちゃん!! 大丈夫?」

「ど、どうしたの!?」


そんなわたしの様子を見て、女子たちから悲鳴が漏れる。


「おい、過呼吸か? わ、そのへんに紙袋はねが!?」


先生の慌てた大声も聞こえてきて、ギャラリーが一斉にそわそわと動き出す。


「はぁっ、はっ!」


やだ、苦しい!!

息ができない! 死んじゃう!


まわりが慌てだすと同時に、わたしもパニック状態になり、苦しさが更に増していった。



――わたしは、一体、何を期待して飛ぼうとしたのだろう。



飛べるかと思った。

わたしが飛んだら、みんなが喜んでくれると思った。


飛びたかった。

もし上手くできたら、あの嫌な記憶を忘れられるかと思った。


また調子にのったからだ。

あの頃から何も反省してないじゃん。


わたしはなんてばかなんだろう。
< 59 / 317 >

この作品をシェア

pagetop