僕の幸せは、星をめぐるように。


しかし、意識が自分から離れていくことを感じた、

その時――


わたしに近づく足音が聞こえてきて、倒れそうになっていた体がふわりと優しく支えられた。


「トシミちゃん」


何でこんなわたしなんかに手を差し伸べてくれるのだろう。


「大丈夫だから。今からおれの言うとおりにして」


薄れゆく感覚の中、

耳元でそう囁く優しい声が体の中にしみこんでいく。


手を伸ばしてもよいのだろうか。


――いや、わたしも、その手を握りたい。


もっと、もっと君のことを知りたい。



「落ち着いて、息を吐いてみて」


そう言って、その声の主は、わたしの背中をゆっくりとさすった。

止まらない呼吸の中、息を吐くことに意識を集中させる。


「……っ、はぁっ」


「そう、そんな感じ。次はもう少しゆっくり吐いてみよっか」


肩や肺をひくひくさせながらも、少しだけさっきよりも息を吐くことができた。


「うん。大丈夫。次はお腹に向かって少し息を吸ってみて。ゆっくりね」


次は、ゆっくり吐いて。

もう一回吐いてみよっか。


淡々と、ぼそりぼそりと囁くその声はわたしの耳から、

ゆっくりと背中を撫でる温かい手はわたしの背中から、安心感を与えてくれる。
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