僕の幸せは、星をめぐるように。

「あ、ごめん。おれ寝ちゃってた?」


「う、うん。ここ、保健室? 阿部くん授業は?」


ベッドが並んだ奥、壁にかかった時計を見ると、4時間目のど真ん中の時間。


確か、体育は2時間目だったはずだから

……うわ、2時間くらい寝ていたようだ。


阿部くんは体育用のポロシャツのまま。

ずっとここにいてくれていたんだ……。


「大丈夫、ミヨ先生はマブダチだから。さすがにクニオとユカチンは授業に戻ってもらったけど。

……また何かあったとき、おれがここにいた方がいいかなって思って」


そう言って、体を起こしながら淡々と話す阿部くん。


まぶたが重いのか、目が線のようになっている。

2回ぱちぱちさせるといつも通りの大きさに戻った。


あ、前髪に寝ぐせがついてる。可愛い。


「実はね、時々おれもここでサボ……いや、休んでるの」


開けられた窓から風が吹き込み、クリーム色のカーテンがゆらゆらと揺れている。

逆光になっている阿部くんの表情は、いつも通り穏やかだ。


そういえば、阿部くんは朝一とか昼休み後とか、ときどき教室にいないことがある。

へーサボってるんだ。


でも、ミヨ先生――保健室のおばちゃん先生のこと、マブダチって……。

年上キラー恐るべし。


ちなみにミヨ先生は、一旦職員室に行ったらしい。


他のベッドも全部空いているため、

今ここはわたしと阿部くん2人だけの空間のようだ。
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