僕の幸せは、星をめぐるように。
「だってさ……トシミちゃん、足とか超早いし面白そうな子なのに今何もやる気なさそうじゃん。何かキッカケを与えられたらいいなって思ってで~」
「えー!? んなのいいって! むしろ何か申し訳ないっす!」
目の前の女子軍団に対して必死に早口で言葉をまくしたてていたら、
「やっぱりトシミちゃんって面白ぇって~!」
という声が聞こえてきた。
もう、何なんだこれは!
逆にまた心臓バクバクいくんだけど。
しかもやる気なさそうって。
そう見えてたのか……。
でも、この集団はあの時と違って、みんなを『負』の方向へ引っ張らないんだ。
単純に楽しい高校生活を送りたいだけ。
そんな気がする。
「でも、あん時の阿部ちゃん、マジ格好良かったね!」
「んだ~、あれはやばいべ? 先生なんかより全然落ち着いてたし。まじすげー!」
「え? や、その……」
わたしは振り返り、ちらっと窓側の一番前の席を見た。
――あ、いないか。
すでに阿部くんはクニオたちと一緒に別の場所でお昼ごはんを食べているらしい。
「じゃじゃ! トシミちゃん顔赤くなってるし!」
「だぁめだ~。こういう話はトシミちゃんには刺激強すぎだべ」
気がつくと、まじめんこい~! という女子たちの笑い声に包まれていた。
もう……。
早くここから脱出したいんですけどー!