僕の幸せは、星をめぐるように。
「何で? ユカチン面白くて良い子なのに」
「中3の頃、あたし某ゆるきゃらにハマってて。頭にネギのっけた可愛いやつ」
「あ、知ってる。グランプリで上位だったやつだべ?」
「んだ、それ。で、小さいぬいぐるみとかカバンにつけてたら、他の女子が可愛い~っつって、他のキャラも合わせてクラスにゆるきゃらブームが起きてさ。
あたし詳しかったから、みんなに聞かれて情報教えたりして」
わたしの頭の中では、いろいろなゆるきゃらが浮かんでは消えていた。
ちなみにここの地域の担当は、わんこそばが入った可愛い顔のお椀ちゃんだ。
側面から割りばしで攻略しているため、そのソフトクリームは次第にコーンに乗った細長いオブジェと化していく。
そこまで完了したら、後は上からはしでつまんで食べればOK。
わたしは、その後の展開が想像つかなくて、
なめらかな舌触りとバニラの味を感じながらユカチンの言葉を待った。
「したっけさ、みんな競うようにグッヅを集め出して。で、ネット通販で買いまくる人も出てきてて。保護者の間でも少しずつ問題になり始めちゃったのね」
「へー。みんなよんぐそこまですんね」
「ほら、ブームに取り残されないようにみんな必死なんだべや。あたしは普通にそのキャラが好きだっただけなのに」
ユカチンはそう言って、ため息をついた。
高校生活がスタートしたときから、ユカチンは積極的に女子グループに入ろうとはしていなかった。
その理由が少しずつ見えてきた気がする。