僕の幸せは、星をめぐるように。



★ ☆ ★


夜7時からの人気バラエティ番組に向けて、コマーシャルが続いている。


しろい~おも~い~で~、とその映像に合わせて歌っていたら、

窓越しに星めぐりのメロディーが聞こえてきた。


「あ、おかーさん、回覧板持ってぐねー!」


色々なことがあった今日。

そろそろクニオが帰ってくる時間だ。


「まだ見てねんだけど。ま、いっか。お願い~」



外に出ると、今日のお日さまは雲に隠れたまま山の奥に沈んだようで、

薄暗い空気に家や街灯の明かりがくっきりと浮かび上がっていた。



「すみません。回覧板遅くなりましたー。あと、クニオくん帰ってますか?」


「ほいよ、ちょっと待ってけれ。クニオー!! トシミちゃんが呼んでたよー!!」


相変わらずクニオ母は息子に負けず声がでかい。


キーンという耳鳴りの中、ドスドスとヤツが階段を下ってくる音が聞こえてきた。



「俺もちょうど聞きたいことあったんだけど。ちょっといい?」



クニオは澄ました顔でボリボリ頭をかきながら外に出てきた。

そして、わたしを置いて、スタスタと歩き出す。


何だろう、このクニオのくせに格好つけている感じ。

ちょっとイラっとする。


嫌いではないけど。
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