僕の幸せは、星をめぐるように。

わたしの勢いに押されたのか、

まさか正直に言ってくるとは思っていなかったのか。


ユカチンは綺麗にマスカラが塗られたまつ毛をパチパチさせてから、

ゆっくりと話し始めた。


「あんさ、この前、日曜夜のアニメ見てたっけさ、何かあいつのこと思い出しちゃって、笑っちゃって」


「え? 6時とか6時半のやつ?」


「んだ、それ。な~んか似てるなぁって。あのキャラとあのキャラとクニオ」


「あ! もしかしてヤマダとイソ……」


わたしがそう気がついたとき、


「うおおおお! オレ、マジビンビンにバイブス感じてきたどぉ!」

と聞きなれた大声がこっちへ近づいてきた。


お目当てのライブを堪能してきたらしく、ご満悦なお顔のクニオだ。

首にはそのアーティストのグッヅらしい、いかつい柄のタオルが巻かれている。



「わークニオ汗かきすぎだべや。待ってこっちくんなって!」


クニオに向かって急いで汗拭きシートを2、3枚投げるユカチン。


「おおっ、YO! その気遣いにオレマジ感謝、おめぇマジオレの保護者。アーイ!」


「何そのクソラップ。ヒップホップ界に対するディスり(侮辱)だんべ」


「うぅわ、ちげーよ。リスペクトだぁ~。ひで~」


わたしは、汗拭きシートの爽やかな匂いにつつまれながら、そんな2人のやり取りを見ていた。


――むむむ?

これってそういうことだよね?




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