僕の幸せは、星をめぐるように。
それから、ライブを見たり、エリアを探索したりしていると、
空の色は次第にオレンジを帯び、芝生やステージやお客さんを飴色に染めていった。
わたしは、阿部くんと一緒に芝生にすわり、奥にあるステージを眺めていた。
大きすぎず、小さすぎずなこのエリアでライブをするのは、次にブレイクしそうなバンドたち。
「クニオまじで面白いね。あいつ彼女いたことないの?」
「うん。あ、でも好きな人はいたっけよ。残念ながら告白しないまま、その子は他の男子と付き合い始めたけど」
「へーそうなんだ」
「あ! ちなみに……」
中2の頃。
好きでもないし、告ってもいないのに、わたしはクニオにフられたことがある。
思春期まっただ中。
クラスには、異性に話しかけるのを躊躇する空気と、逆に異性に好意をあらわにする空気が混在していた。
そんな中、家も近所で変わらず仲が良かったわたしたち。
クラスの男子には、「おめぇら子どもこしらえてんでねーか?」と真っ赤な顔でからかわれ、
女子には「クニオと付き合ってんだべ? うぅわ、あいつとチューするのとか考えられね~」とキャイキャイと話のネタにされた。
そのせいで、わたしはクニオのことを避けざるを得ないようになった。
クニオもそのからかいの声に、ちげーよ! と真っ赤になりながら反論していた。
結果、学校でクニオにおはようの挨拶をすることすら出来なくなってしまった。
そんなある日、
いつも通りクニオ家に回覧板を届けた時、こう言われた。
「おめぇ、もしかしたら俺に惚れてっから、学校でそっけないんだべ?」
「は?」
「んだったらごめん。おめぇの気持ちには応えられねぇ……」
わたしはこの空いた口が一生ふさがらないかもと危機を感じるほどに、ポカーンとしていた。
何を言い出しているんだ、こいつは。