僕の幸せは、星をめぐるように。
「ああ、あのイケメンくん、よくここさ来てるっけよ。賢治さんのファンだべ? たぶん」
入口に戻り、母に聞くと、目をハートマークにしながらそう答えた。
ちなみに母は典型的なイケメン好きである。
サッカーではウッチー。体操では加藤選手。フィギュアでは羽生くんだ。
その母が彼をイケメンと認めたが、
阿部くんは、普通のイケメンとは毛色が違うと思っていた。
整った薄めの顔立ちは、確かに格好良いけど、
何と言うか、学校やクラスではメジャーにならないタイプ。
いわゆる『リア充臭』が一切しない。
スクールカーストでは、ピラミッドの外に描かれた太陽か月だろう。
(ちなみにわたしは紛れもなくピラミッドの中間層だ。)
でも、醸し出す雰囲気には惹かれるところがある。
クラスメイトたちとは違って、何と言うか、落ち着いていて、アダルトちっくな感じ?
その阿部くんは、中学までは他の県に住んでいて、高校入学とともにこの町に引っ越してきたらしい。
意外なクラスメイトを、まさかここで見ることになるとは。
阿部くんと話したことは何度かあるけど、
プライベートなことまでは踏み込んだことがない、ただのクラスメイトの1人だった。
わたしは少し、彼に興味を持った。