僕の幸せは、星をめぐるように。

「でも、勝手かもしんねーけど、おめぇに無視されるのは寂しいべや~。俺、その、トシミのこと大切な友達だと思ってっから」


わたしの前には、夕焼け空の下、うなだれているクニオの姿があった。


こいつは、いったい何を勘違いしているんだ。


要は、わたしがそっけない態度を取っているのは、わたしがクニオを好きだから。

それに対し、クニオはわたしを恋愛対象として見れない。


でも、これまで通り、わたしと友達として仲良くしたい、ってことか。



……ここまでバカだと、逆に天才なのかもしれない。



カァーカァー、と遠くからカラスの鳴き声が聞こえ、

はぁ~、とわたしの口からため息が漏れる。


そして、わたし自身も何てバカなことに頭を費やしていたのだろう、と思った。


「ごめん。んだよね。わたしとクニオの仲だしね。わたしも今まで通りがいい」


そう言って私が笑うと、クニオはこう続けた。


「いや~でもモテるって気分悪くはね~な~。とうとうオラの時代がやってきちゃったってやつ~? ほら、天才って生きてるうちには認められないって言うジャン」


目の前でカッコよくもカワいくもない戯言を吐かれ、

イライラ度MAXになったわたしは、ヤツのケツに向かってキックを放っていた。


「ってかね、おめぇ、何か勘違いしてっけど。わたしにも選ぶ権利っつーものがあんだよ!」


いてぇ~、と情けない声を出しているクニオを置いて

わたしはプンスカと家に帰った。


次の日、たまたま校門で一緒になったわたしたちは、一緒に教室に向かった。

すると、「うぅわ、ラブラブしてんでねーよ」とガキンチョ男子に冷やかされた。


わたしは、クニオが「うるせー」と言おうとしている間に、こう言い放っていた。


「友達同士一緒に登校したって別にいいべ?」




< 90 / 317 >

この作品をシェア

pagetop